「お仏壇の買い替えを決めて、デパートに娘と見に行ったのですが、彫り物がすごいものばっかり。そういうのではなくて、とにかくすっきりとしたお仏壇が欲しかったのです」。
ご主人を亡くされた翌年のこと、中村さんはお位牌が多くて窮屈そうな仏壇の買い替えを決めました。
まず、結婚されて別に暮らす娘さんとデパートの売り場へ。
派手な彫り物が気に入りません。
次に娘さんがインターネットで探された東京の有名な仏壇店を2~3軒見て回られたそうです。
しかし、どこを見ても華美な彫り物を施された仏壇ばかり。
しかもお値段の割には造りにも納得できません。
「お仏壇はいつもきれいにしておきたいから、すっきりがいちばんなんですよ。さんざん見たのですが、どうしても気に入らなくて」と中村さん。
中村さんの要望は、お手入れがしやすいシンプルでありながら、上質なもの。
そんな気持ちを聞いた娘さんからの助言もあって、娘さんが暮らす鎌倉あたりの仏壇店を見てみることに。
そして辿り着いたのが、「山徳」でした。
一目で気に入ったのが、黒檀のムク材で造られた台付きの仏壇です。
中村さんがこだわったすっきりとしたデザインながら、品格のあるもの。
「お店で見てすぐ決めたんですよ。何軒見ても良いと思わなかったのにね。山徳さんではすぐに見つかったんですよ」と笑いながら中村さん。
香炉や花立てなどの仏具は、中村さんが嫁いで来られた時から使われていたものをそのまま現在もお使いになっています。
長い時を経てきたものとは思われないほど手入れが行き届いた仏具が、仏壇としっくりなじんでいます。
仏壇の脇にはキャビネットが置かれています。
今でも毎年のようにご主人宛に届く学生時代の会報や雑誌などを収納できるキャビネットを「山徳」で仏壇に合わせて造らせていただきました。
中村さんが刺繍されたクロスが掛けられたキャビネットの上には、
ご主人が微笑んでいるお写真が綺麗なお花とともに飾られていました。
その日は、江ノ島神社に行く用事があり、車で向かっていた時のこと。
たまたま車の窓から目に飛び込んできたのが「山徳」のショーウィンドウだったそうです。
「アンティークショップかな…」と思ったその店が、仏壇店だとわかると少し驚きました。
日頃から雑貨店やアンティークショップに興味をお持ちの奥様の目に留まったのが、ステンドグラスを扉にあしらった仏壇でした。
その時、ご夫妻は亡くされたお子様のための仏壇を探されていました。
「近所の仏壇店を2~3軒見て回ったのですが、どういうものがいいのか決めかねていまして。どこも同じようなものばかりですし。正直、どういうものが欲しいのかわからなかったんですね。そんな時に山徳さんのステンドグラスのお仏壇に出会ったのです」と、奥様。
ステンドグラスは、ご友人のお宅の扉に埋め込まれていたのを、前から素敵な使い方だと思っていたのだとか。
もちろん仏壇にステンドグラスが使われているのを、それまで見たこともなく、もう一度じっくり見たいと思い、最初の出会いから2週間後には「山徳」を訪ねました。
「山徳さんでは、お店の方にとても丁寧にご説明いただきました。仏壇を造る職人さんのお話までしてくださり、私たちも安心しておまかせすることができました。実際に見せていただいたお仏壇も気に入りました。ステンドグラス自体のデザインは少し迷いましたが、飽きのこない幾何学模様のものを選びました」。
仏具も仏壇に合わせて選ばれたのですが、中でもお参りの始めや終わりに打つ「りん」は、モダンなデザインをご友人が大変気に入られて、ご友人のために「山徳」でもうひとつご購入いただきました。
「買うまでどこに置くか考えていなかったのですが、いつでも見えるところに置きたいと思いました」というご夫妻の思いから、仏壇はご夫妻が多くの時間を過ごされるリビングに、沢山のお写真とともにありました。
そこはご夫妻の愛情に包まれた暖かい空間でした。
グランドピアノが置かれた広々とした洋室に美しく調和した金仏壇。
リビングの壁にすっぽり納まった金仏壇は、あたかもずっとそこにあったかのように迎えてくれました。
「こんな綺麗なお仏壇が家にあるのが、今とっても嬉しいんですよ。実家の母がお仏壇を買い替えるというので、一緒に仏壇店を見て回ったことがありましてね。その時に金仏壇を見る機会があったのですが、なんて綺麗なお仏壇なんでしょうと思ったんですよ。そうしたら我が家の宗派のものだということで。その後で主人の義母が亡くなりまして、お仏壇を買うことになりました」と、奥様。
実際に仏壇を選ぶとなると、どこに行けばいいのか大変迷われたそうです。
以前、お母様と見て回られた東京の仏壇の有名店では、話を聞いてもあまりにも商売気の強い型通りの説明でどうしても頼む気になれません。
そんな時にふと思い出したのが、藤沢で見かけた「山徳」の看板だったそうです。
「お店に行きまして、金仏壇を見せていただいたのですが、説明も丁寧で、本当に親身になってくださいました。とても誠実な印象を受けまして、すっかりおまかせすることにしました」。
それから、どこに置くかということになったわけですが、その頃ちょうど外壁やドアの取り替えをしていたこともあり、リビングの壁に仏壇が入るスペースを造ってしまおうということになりました。
「初めからこの壁のここに入ることが決まっていたかのように納まりましてね。こうして毎日眺めていると、仏壇も工芸品だとしみじみ思います。ピアノもある種、工芸品ですよね。とても合うんですよね」と、ご主人。
ピアノと仏壇。
一見不釣り合いに思えるものが、H様のお宅では見事に調和しています。
「2回ほどお店に伺ったでしょうか。選んだのは息子ですが、ほぼ即決でしたね」と、Fさん。
ご主人をご病気で亡くされて、仏壇を購入することになった時、お父様の時から付き合いのある山徳を訪ねてくれました。
「山徳さんには、父の時も、母の時も、お世話になりまして、親しみがあるんですね。長年のお付き合いということでもないのですが、こんなことを聞いたら恥ずかしいと思うようなことも聞けますし、どんなことも包み隠さず話してくれる、そんな誠実なところが信頼できるところですね」。
Fさんのお宅の仏壇は、洋室の雰囲気に合った現代的な仏壇。選んだポイントは部屋に置いたときに違和感のないもの。
仏間や床の間のあるような和室であれば、彫り物が施された昔ながらの仏壇も良いのですが、現在の住まいにはそぐわないと思ったそうです。
部屋に合った明るいイメージのもの、また常にきれいにしておきたいので、お手入れのしやすいものということで選ばれたのが、明るい色目の家具調の仏壇でした。
「飽きのこないというのも変ですが、部屋に置いたときに違和感のない自然な感じのものがいいと思ったんです。お店の方には何でも相談しました。できれば日本の職人さんがつくったものが欲しいと思っていたので、そんな希望も聞いてくださいました。この仏壇に決めたのは息子ですが、満足していますね」と、笑いながらFさん。
大学4年になるという息子さんも
「小さい時から毎月のようにお墓参りに行っていたこともあり、仏壇を選ぶということも抵抗感なくできました。お店の方の人柄もあると思うのですが、押しつけがましいところが一切ないというところも好感が持てましたし、すぐに決めることができました」。
仏壇のかたわらに置かれたフレームには、
長い間、ホテルに勤務されていたというご主人の人柄を感じさせるかのように、
同僚の方々からのメッセージがぎっしりと寄せられていました。
© 山徳